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ひとりDEクリスマス

 

ひとりDEデートから二ヶ月。前回、私はカップルの定番デートコースを独りで巡り、現代のカップル中心産業に警鐘を鳴らした。オシャレなカフェやレストラン、カラオケボックスを小汚いスタイルで巡り、最後にはラブホに独りで宿泊、エロビ当てクイズに興じるなどキチガイとしか思えない行動を成し、勝利を収めた。

しかし、戦いはまだ終わってはいなかった。

年の瀬、カップル達最大のイベント、クリスマスがやってきたのだ。この日ばかりはカップルは普段の25割増で街に溢れ、そのRomanticさを競う。いかにこの日をRomanticに恋人と過ごすかによって一年の思い出が決まるといっても過言ではないようだ。

しかし、Romanticに過ごすといってもカップル達の本音は

クリスマスだからSEX
RomanticだからSEX
雨が夜更け過ぎに雪へと変わったからSEX
山下達郎がSEX

とまあ、節操もなくSEXに行き着くわけで、 「クリスマス」「クリスマスイブ」という名称をいっそのこと「セックス」「セックスイブ」と変えたらどうだろかと思うほどである。とにかくクリスマスとは一部の子供とカップルのための日であるというのが定説である。

クリスマスの独り者は人にあらず

という言葉が何の疑問の余地もなく通ってしまうほど現代のクリスマスは腐り果てた。冗談じゃない、独り身にだってクリスマスを人並みに楽しむ権利があるはずだ。という主張も兼ねまして、今回、僕はたった独りでクリスマスのRomanticスポットを巡り、カップル達のRomanticストリームをぶち壊してくることにした。

これは孤独な男による独りぼっちの闘争記録である。

 

○出発の前に
今回の私の装備品を紹介しよう。今回はクリスマスということもあり画像のようなサンタ帽を終始装着していた。服装は限りなくアキバ系、わざわざケミカルウォッシュのジーンズを購入したほどだ。デジカメを持って行き、画像をとろうと思ったのだがヤンキー彼氏などに捕まって身体検査されたら間違いなく破壊されるのでやめた。申し訳ない。出発はイブの日の朝10時。その後、行動開始までに各種下準備をしたりソフマップに行ったりして時間を潰した。行動開始は日が落ちてからだったことを付け加えておく。

ひとりでクリスマスツリー
夜の帳が落ちた街並みに光り輝くクリスマスツリー。気分はとってもクリスマス。中でも某広場には巨大なクリスマスツリーが飾られており、イルミネーションも華やかでカップル達に大人気のようだった。カップル率7割。恋人達は思い思いに乳くり合い、キスをし、愛を確かめ合っていた。その場でハメ撮りでもしかねない勢いだ。なんということだろうか、世界には未だに戦争をしている国々もあるというのに。僕はちょっと悲しくなった。確かにこのRomanticさは罪だ。そんなRomanticな広場に独り佇む僕。これもまた運命。そして流れくるクリスマスソング。あまりにもお決まりのシチュエーションだ。

この広場には各々が100円で流れるBGMを選択できるようにジュークボックスが設置されている。皆が率先してそれぞれの好みのクリスマスソングを流しているようだった。これを利用するしかない。

おもむろにジュークボックスに近づき、選択可能な曲を見てみた。今日は心なしかクリスマスソングが中心に配置されているようで、他の曲はあまり入っていなかった。さあ、Romanticストリームをぶち壊すぞ。

ジュークボックスに300円入れた僕は、選択可能なNOTクリスマスソングを立て続けに3曲入れた。

三人祭/チュッ!夏パーティ

ミニモニ/ミニモニじゃんけんぴょん!

EE JUMP/おっととっと夏だぜ!

精一杯の選曲だった。しかし、すぐには反映されず、しばらくツリー周辺にはクリスマスソングが流れていた。なんか山下達郎のラップみたいなヤツとかである。

そして遂に3人祭が流れ始めた。ツリー横の特大ビジョンには加護亜依の顔がアップで映し出される。松浦も石川も元気だ。三人祭最高。そして困惑の表情を浮かべるカップル達。まだまだ、こんなもんで驚いてもらっちゃ困る、次にはミニモニが控えているのだ。この時点で数組のカップルがこの場を離れた。

僕は未だに愛を確かめ合うカップルの横に陣取ると、その横で3人祭に合わせて歌を口ずさんだ

「チュチュチュチュ、サマーパティー、チュチュ期待しちゃうわ、チュ」

サンタ帽をかぶったアキバ系の怪しげな男が歌う3人祭。さぞかし不気味だったことだろう。これで数組のカップルが消えた。女のほうの異常な哀れみの眼差しを僕は忘れない。

そして流れるミニモニ。これも僕は数組のカップルの横で歌った。トドメとばかりに流れるEEJUMP。これも歌った。

最後の曲が終わった時点で半数近くのカップルが消えた。そしてまたクリスマスソングが流れるのだった。
ひとりぼっちのクリスマスツリー、とっても楽しかった。

○俺−(三人祭)−クリスマスツリー×

 

●ひとりでクリスマスレストラン
さて、ツリーも堪能した。今度はなんといってもクリスマスディナーだろう。僕は前回ひとりDEデートで行ったレストランに再度行った。今日はクリスマスディナーということで特別コースがあるらしいのだ。店に行って驚いたのだが、若者に人気の店ということで店の前はカップル達の長蛇の列だった。お前らは寒い中、並んでまで飯が喰いたいのか?ロシア人か?などと問い詰めたかったがやめておいた。僕は並ばずに入店。なぜなら予約していたから。この用意周到さを外のカップル達は見習うべきである。この企画が決定した直後、クリスマスは大盛況で長蛇の列だと予感し、店に予約の電話を入れた。

「24日の夜に予約したいのですけど、空いてますか?

「はい、空いております。何名様でしょうか?」

「1名です

「え!?」

「1名です

などという心温まる電話でのやり取りがあったのだ。その甲斐あって僕は並ばずして席をゲットしたのだ。店に入る際に並んでいたカップル達が恨めしそうな目で見ていたが気にすることはない。お前らが悪い

店内は驚くことに僕以外の席が全てカップルで埋まっていた。カップル率9割強。タキシードを着た店員さんが「帽子はちょっと・・・」というニュアンスで注意してきた。比較的フランクな服装で大丈夫なレストランとはいえサンタ帽はまずいらしい。しかしクリスマスなのだ気にするkとはない。クリスマスにおける俺の正装なのだ。しかしまあ、ヘタレな僕は言われるがままに帽子を脱ぎ、カバンにしまった。

やっとこさ席に座れた。周りのカップルは皆思い思いにクリスマスを楽しんでいる。キャンドルを見つめ愛を囁く。渡されたプレゼントを眺め愛を確かめ合う。みな幸せそうな表情だ。僕まで幸せな気分になってくる。こんなRomanticな雰囲気漂う中、僕だけ汚い格好で一つのテーブルを占領している、その時点で相当に嫌がらせだろう。予定してた食後のゲップ連発を取りやめる。

隣のカップルはチラチラと僕のほうを見てヒソヒソと噂話をしている。何も気にすることはない、僕は独りで飯を食いに来ているだけなのだ。

運ばれてくるクリスマスコースを僕は物凄い勢いで食べ尽くす。前回も書いたが喋る相手もいないので食事のスピードは相当なものである。隣のカップルはどうやら僕がレストランで恋人と待ち合わせをしていて相手が遅れているだけと勘違いしているようだ。誤解なきように言っておく、俺は最初から一人だ。

デザートもソコソコに退店。おいしいディナーだった。

○俺-(予約)-クリスマスレストラン×

 

●ひとりでクリスマス夜景
さて、次は夜景の有名なスポットに車を走らせた。街外れの高台。ここには展望駐車場もあり大都会の夜景が楽しめるようになっている。当然、クリスマスともなればカップル達で溢れ、都会の喧騒から離れて繁華街の光や国道を走る車のテールランプの列を見るうちに

「夜景・・・綺麗だね・・・」

「夜景に照らされたおまえの顔の方が綺麗さ・・・」

「・・・タダシったら・・・」

「寒いな・・・温かいジュースでも買ってくるよ」

「うん」

「温かいね・・」

「うん、温かい」

「来年もこうして一緒に夜景を見れるかな・・・?」

「当たり前だろ、コイツ」

などというベタな恋模様が繰り広げられているに違いない。しかし、いくら視覚的にRomanticでも、聴覚的には淋しいものだろう。夜の高台ということもあって聞こえるのは風の音ばかり、これじゃあいくらなんでも淋しい。

そこで僕はツリーでの教訓を踏まえ、音楽のデリバリーをすることにした。カーステレオから大音量で音楽を流し、車の窓を全開にする。移動ジュークボックスの完成だ。選曲は

広末涼子「MajiでKoiする5秒前」

すまない、CDがこれしかなかったのだ。決してワザではない。仕方ないことだったのだ。
さあ、爆音で広末を響かせて高台の駐車場に突入だ。

 

甘かったです。高台では恋人達が甘く切なく愛を語り合っていると思ったのだが、なぜか駐車場にはお下品なヤンキー車しかないのだ。しかも特攻服着た人とかいるし。輪になって溜まってるし、カップルもいるにはいるのだが、ヤンキーカップルしかいないのだ。バットとか持ってるし。野球でもするんですか。ここは集会場ですか。

そんな彼たちの巣の中に広末涼子を爆音で轟かした一般車両が突入だ。しかも運転手はサンタ帽をかぶってる。殺されるだろう

Majiで生命の危機を感じた。なんかバット持った人が睨みながら近づいてくるんだよ。鳥の巣みたいな頭して。
僕の相手はヤンキーではなくカップルだ。彼たちに殺されるのはお門違い、僕は急いで車をバックさせ逃げた。

その際に「駐車場」と書かれた看板に車の前部をぶつけてしまい、車が凹んでいたが気にしない。命のほうが大切なのだ。

△俺-(カップルおらず)-クリスマス夜景△

 

●ひとりでクリスマスパーティ
さあ、いよいよ今回の企画ラストとなりました。恋人達のクリスマス。小洒落たホテルに泊まり、二人だけのクリスマスパーティ。女は飲みなれぬシャンパンに少し頬を紅潮させ、男は「キミの瞳にカンパイ」などとターキーを食する。そして今宵、二人は結ばれる。

そんなベタな展開をどうにか阻止したかったのですが、さすがにホテルの部屋に入ってしまったカップルをどうこうすると逮捕されかねません。しょうがないので独りでパーティを楽しむことにする。

ケーキにシャンパン、トリの足の肉、クラッカーにクリスマスカード、クリスマスプレゼント、パーティグッズとして鼻のついた丸眼鏡も購入しておいた。そして会場はカップル達に人気のシティーホテル。

このダブルの部屋を予約しておいた。まあ、当日も部屋が空いてるようだったので、最近はクリスマスにシティーホテルでってのは流行らないのかもしれない、不景気だし。

もちろんダブルの部屋に独りで泊まる。ホテルマンの対応は素晴らしいもので、イブの夜に独りでダブルの部屋に泊まろうとしている男を怪訝な表情で見ることもなく、他のカップル達と同等の扱いで接してくれた。

部屋に案内され、窓から夜景を眺める。今ごろ隣の部屋ではカップル達がまぐわっているのだろうか。こちらも負けずにクリスマスを盛り上げねばならない。

ケーキを出し、部屋を暗くし、キャンドルに火を灯す。
自分に宛てたクリスマスカードやプレゼント(増設メモリ256M)を開け、歓喜の声を上げる。
そして、
クラッカーを鳴らしながら大声で言う

「メリークリスマス!ヒャッホー!」

あまり素で言うには恥ずかしいセリフだが、気にすることはない、誰もいないのだから。
ケーキを食べ、鳥の足肉を食べ、シャンパンを開けて飲む。そして今日一日の出来事を思い返した。

大きなクリスマスツリー、クリスマスディナー、そして声も出ないくらいに綺麗な夜景、吹き付ける冷たい風。
三人祭にEEJUMP、レストランの隣のカップル、高台でのヤンキー軍団。ホテルマン

全てがまるでさっきのことかのように近くに感じられ、 楽しいクリスマスだった。楽しいクリスマスだった。

シャンパングラスを傾けながら僕はこの日、初めて泣いた。
決して淋しいからではない、こんな楽しい日がまた来るのだろうか、と思い切なくて泣けてきたのだ。
この日はシャンパン一本を1人で開け、深い深い眠りについた・・・・。

○俺-(シャンパン)-クリスマスホテル×

 

いかがだっただろうか、今回のチャレンジでも分かったように、クリスマスは決してカップルだけのものではない。独り身だって十分にクリスマスを楽しむことはできるし、淋しくもない。むしろクリスマスは独り身のためのイベントだ。何も恥じることない。クリスマスは街に出て一人で堂々と過ごして欲しい。それがNUMERI流クリスマスの過ごし方。

非モテな人は自虐的になってはいけない。内向的になってはいけない。クリスマスを恨み忌み嫌ってもいけない。 恋人達をおおっぴらに羨む必要もない。ただ、独りであることを恥じずに楽しんで欲しいだけだった。それが今回と前回のチャレンジのきっかけだった。

そして1つでも多くの不幸せなクリスマスを消したかったのである。

世界中の独り身たちに捧ぐ。メリークリスマス。


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